【読書記 #3】「ジェフ・ベゾス 果てなき野望 」~AWSは必要だからやるんだ~
目次
なぜ読んだ?
所感
アマゾンのジェフ・ベゾスが退任を発表し、次期アマゾンのCEOに現AWS CEOアンディ・ジャシー就任というビッグニュースが入る。
退任ベゾス氏を継ぐアマゾンの次期CEO、アンディ・ジャシー氏はどんな人?
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/05140/
そんな折、アマゾンのカルチャーに触れるため、本書を再読。 改めて、読むと早い段階から、ジェフ・ベゾスがアンディ・ジャシーを後任として考えていたことが伺える。 本書を読むと、アマゾン創業の経緯や、からのアマゾンの歴史、カルチャーに触れることができ、 とりわけ、ジェフ・ベゾスのリーダーシップぶりのすごさがわかる。
AWSの誕生の経緯
AWS(Amazon Web Services)は、ご存じAmazonが巻き起こした一連のITインフラ革命である。
AWSの誕生により、固定費として捉えられていたサーバ機器などが「使った分の支払い」という変動費に変貌しただけでなく、 その調達プロセスそのものを、わずか数クリックで調達できてしまうセルフサービス型のインフラサービスにしたことで、 インフラ業界を一変させた、まさにインフラ革命である。
その誕生の経緯の一端が、本書を読むと分かる。 このあたりは、いたるところで語りつかされているので、詳細は割愛するが、大まかな流れ。
- ジェフ・ペゾスがティム・オライリーとの出会いにより、商品へのWebAPI経由でアクセスの重要性を認識。(2002年頃)
- AWSのベースとなるサービス開発がAmazon社内でひっそりと進められる(2004年頃)
- AWSリリース(2006年)
いまやクラウドの雄であるAWSも、2005年頃は、Web2.0の文脈で語られていたことを思い出す。
本書を読んだの再発見は、AWSの基本コンセプトが、Unix文化に通じていること。
コンピューターインフラを原子のように、小さくてシンプルな要素にインフラ分解することで、 その一つ一つを任意に社外からアクセスできるようにする、という基本コンセプトは、 Unixでいうところの「ひとつのことをうまくやれ!」に通じる。
これは、ジェフ・ペゾス自身が、Unixを利用したエンジニアだあったことも関係しているのではないだろうか、と勝手に推測。
ライバルたちも凄さを認める
本書を読むと、Amazonのライバル企業であるGoogleのエリック・シュミットもAWSが起こした インフラ革命を素直に認めていることがうかがえる。
突然、あちらこちらもアマゾンという状態になったのです。おもしろうそうで成長力もある会社が みんな自分のプラットフォームを使ってくれるというのは、すさまじいメリットです。(エリック・シュミット)
ライバル業界のトップたちが、AWSが起こした革命に対して、唇をかんでいたことがうかがえる。
私が、AWSに出会ったのは2009年。当時はこれがどれだけ、破壊的で革命的なものであったかは 知る由もなく、レンタルサーバの延長ぐらい、にしかとらえてなかったことを考えれば、 やっぱ、IT業界のトップって優秀なのね。。。と実感。
AWSは必要だからやるんだ
いまでは、AWSのドル箱になったことは周知の事実であるが、 AWSの構想をアマゾン社内の取締役会に提出された際は、組織内では疑問符を持たれたという。 当時を考えれば、「まっとうな疑問」であったと、本書では述懐されているが、 ネットの小売業者が、ITインフラサービス業をやるといえば、日本的にはリスクが高いものとして、 否決されたであろう。その状況下で、ジェフ・ペゾスは、以下の回答をしたという。
この事業も必要だからだ。
上述したアンディ・ジャシーは、この取締役会後、これほど大胆な投資をする会社で、 仕事ができるお前は、幸せ者だと、別の役員から言われたという。
一押し箇所
「AWSは、計画停止時間ゼロで無限にスケールアップできなければならない。無限にだ!」(ジェフ・ペゾス)
「開発者は錬金術師であり、彼らが錬金術を使ってくれるようにできる限り のことをするのが、我々の仕事だ。」(ジェフ・ペゾス)
「オレの人生を無駄使いにするとはどういう了見だ?」(ジェフ・ペゾス)
「AWSは世界的大企業と同じインフラストラクチャを寮に住む大学生が使える世界を考えたのです。 大企業と同じコスト構造が持てるというのは、スタートアップや小売企業にとって、 互角に戦える場所ができるということです。」(アンディ・ジャシー)
こんな人におすすめ
Amazon大好き、AWS大好きの人には、それらの歴史的経緯を知ることができるのでおすすめです。
- 作者:ブラッド・ストーン
- 発売日: 2014/01/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)